副業で動画編集を始める方にとって、「まずは月5万円を稼ぎたい」という目標は、分かりやすい一つの基準です。本業の収入とは別に月5万円あれば、学習費や機材代を回収したり、貯蓄や将来の資産形成へ回したりできます。
しかし、月5万円を「安い案件をたくさん受ければ達成できる」と考えると、想像以上に忙しくなります。1本5,000円なら月10本です。連絡、素材確認、修正、納品まで含めれば、本業後の時間だけでは余裕がなくなりやすい本数です。
私が大切だと考えているのは、動画編集者からディレクターへ進むことを急ぐのではなく、まずは動画編集者として少ない本数でも適正な料金をいただき、時間に余裕を持って高品質な編集を届けることです。

月5万円は、案件数を増やすだけで目指す必要はありません。使える時間、単価、本数、継続依頼を一緒に考えていきましょう。
この記事では、月5万円の意味を整理したうえで、ココナラの販売手数料を含む必要売上、1日4時間・週3日で組む現実的な案件数、初心者が段階的に単価を上げる方法、継続依頼につなげる行動まで詳しく解説します。
最初に決める|月5万円は「売上」と「受取額」のどちらか

同じ「月5万円」でも、何を基準にするかで必要な販売額が変わります。まずは次の3つを分けて考えてください。
- 売上:依頼者へ販売した金額
- 受取額:売上からプラットフォーム手数料などを差し引いた金額
- 利益・所得:受取額からソフト代、素材代、機材など必要経費を差し引いた金額
ココナラの通常サービスでは、公式案内上、取引完了時に販売総額から22%の手数料が差し引かれます。そのため、ココナラで売上50,000円を作った場合、単純計算の受取額は39,000円です。受取額50,000円を目標にするなら、必要な販売額は約64,103円となるため、実際には月65,000円前後の売上を一つの目安にします。
目標を決めるときの確認
- まず「販売額5万円」か「受取額5万円」かを決める
- プラットフォーム手数料と案件ごとの経費を確認する
- 税金を差し引いた手取りとは別であることを理解する
単価別に必要な本数を計算する

次は、受取額ではなく販売額5万円を作る場合の単価と本数を比較します。案件数が多いほど、編集以外の連絡、見積もり、素材確認、納品作業も増える点に注意してください。
- 1本5,000円:月10本
- 1本10,000円:月5本
- 1本15,000円:月4本で60,000円
- 1本25,000円:月2本
- 1本30,000円:月2本で60,000円
初心者が最初からすべて30,000円で受注できるとは限りません。一方、5,000円の案件を10本受ける方法だけを目標にすると、1件ごとの説明や修正に使える時間が減り、実績を作る前に疲れてしまう可能性があります。
例えば、15,000円を2本、20,000円を1本なら月50,000円です。単価を一度に大きく上げなくても、案件の組み合わせで目標へ近づけます。

単価の低い案件を完全に否定するわけではありません。何を学び、どの実績につなげるかを決め、受ける期間と本数に上限を作ることが大切です。
受取額5万円を目指すココナラの組み合わせ例
ココナラで受取額5万円前後を目指す場合は、22%の販売手数料を考慮します。以下は、案件ごとの有料素材などをまだ差し引いていない単純計算です。
- 22,000円×3本:販売額66,000円、受取額の目安51,480円
- 25,000円×3本:販売額75,000円、受取額の目安58,500円
- 30,000円×2本+追加5,000円:販売額65,000円、受取額の目安50,700円
- 20,000円×4本:販売額80,000円、受取額の目安62,400円
1本あたりの料金だけでなく、完成尺、テロップ量、素材探し、サムネイル、モザイク、プロジェクトファイル納品などを分け、有料オプションとして設定すると、作業量に応じた金額になります。
実際の手数料や計算方法は変更される可能性があります。出品時には、ココナラの最新案内と取引画面に表示される受取予定額を確認してください。
1日4時間・週3日なら、月に何時間使えるか
私が副業動画編集の一例として紹介しているのは、仕事のある日に1日4時間、週3日程度です。4週間で考えると、表面上は月48時間を確保できます。
ただし、48時間すべてを案件で埋めると、修正や本業の残業へ対応できません。25%ほどを連絡・修正・予備時間として残す場合、実際に新しい編集へ使える時間は約36時間です。
月48時間の配分例
- 編集作業:30時間
- 見積もり・連絡・素材確認:5時間
- 修正対応:5時間
- 予備時間:8時間
1本の納品までに10時間かかるなら、無理なく扱えるのは月3本ほどです。受取額5万円を3本で作る場合、ココナラでは1本22,000円前後が一つの目安になります。
自分の稼働時間を先に決める方法は、次の記事で具体的な1週間の予定例を紹介しています。
自分に必要な単価を時間から逆算する
目標金額を本数だけで割るのではなく、目標とする時間単価からも確認します。連絡や修正を含め、1本に何時間かかるかを記録してください。
最低販売価格を考える式
目標時間単価×全作業時間+案件経費+プラットフォーム手数料を補う金額
例えば、全作業10時間、目標時間単価3,000円なら、手元に残したい金額は30,000円です。ココナラの22%手数料だけを逆算すると、必要な販売額は約38,462円です。ここに有料素材などの経費があれば、さらに加えます。
この金額をすぐに設定できない場合は、作業時間を短くする、基本料金に含む範囲を狭くする、単価を段階的に上げるという3方向で改善します。値上げだけでなく、見積もり条件と編集工程を一緒に整えることが重要です。
売上だけでは分からない採算の確認方法は、次の記事をご覧ください。
動画編集の実質時給を計算する方法|売上だけでは分からない採算確認
初心者が月5万円へ進む4段階

第1段階|受注前に標準的な編集を完成させる
最初は、カット、テロップ、BGM、音量調整、書き出しまでを一人で完成できる状態を目指します。実績がなくても、想定案件として制作した動画をポートフォリオに掲載できます。
第2段階|1件目で納品までの流れを覚える
1件目では、売上だけでなく、見積もり、素材確認、質問、初稿、修正、納品までの流れを経験します。作業時間と質問された内容を記録し、次のサービス説明へ反映します。
第3段階|得意分野と価格の根拠を作る
ビジネス系YouTube、解説動画、対談動画など、自分が速く高品質に仕上げやすい分野を確認します。「何でもできます」ではなく、得意分野、納期、基本料金に含む範囲を説明できるようにします。
第4段階|相性のよい依頼者から継続を目指す
毎月新規案件だけで目標を作ると、応募と打ち合わせの時間が増えます。納品後に次回の予定を確認し、同じシリーズを任せていただける状態になれば、営業時間を減らしながら売上を安定させやすくなります。
- 想定案件でポートフォリオを作る
- 1件目で納品までの時間を記録する
- 得意分野と基本作業を決める
- 追加作業を料金表へ分ける
- 評価と改善点をサービスページへ反映する
- 相性のよい依頼者へ次回予定を確認する
単価を上げるために見直す5つの要素
1.誰向けの編集かを明確にする
「動画編集をします」だけでは、依頼者は自分の動画に合うか判断できません。ビジネス系YouTube、採用動画、講座動画など、得意な用途と制作例をそろえます。
2.基本料金に含む内容を具体的にする
カット、色調補正、音量調整、ノイズ除去、テロップ量、BGM、タイトル表示など、基本料金で何を行うかを明記します。依頼者にとって比較しやすくなり、追加作業も説明しやすくなります。
3.作業範囲ごとに追加料金を設定する
完成尺の超過、フルテロップ、素材探し、サムネイル、エフェクト、モザイク、クロマキー加工など、時間が増える作業を分けます。「高い料金」ではなく、必要な作業を積み上げた見積もりにします。
4.納期と連絡を安定させる
依頼者は編集技術だけでなく、予定どおりに提出されるか、不明点を確認できるかも見ています。無理な短納期を受けるより、対応開始日と初稿日を守ることが継続につながります。
5.実績と評価を次の提案へ使う
納品後は、掲載許可を得た作品、対応した編集内容、依頼者からの評価を整理します。守秘義務のある実案件を無断公開せず、公開できない場合は同じ技術を使った自主制作へ置き換えます。
少ない本数で単価を上げる具体的な改善は、次の記事で詳しく解説しています。
動画編集で高単価案件を獲得する方法|低単価から抜け出す3つの改善
月5万円を遠ざける5つの行動
- 安い案件を無制限に受ける:学ぶ目的と期限を決めず、作業だけが増える
- 編集時間しか数えない:連絡や修正を含めると採算が合わなくなる
- 何でも無料で追加する:依頼ごとに作業範囲が広がる
- 実績数だけを増やす:得意分野や単価の根拠が残らない
- 売上をそのまま使う:手数料、経費、税金の支払いに備えられない
最初の数件で時間がかかることは珍しくありません。問題は、記録せずに同じ価格と作業方法を続けることです。1件終わるたびに、時間がかかった工程と次回の料金条件を見直します。
継続依頼を増やすために納品後に行うこと
継続依頼は、値下げによって作るものではありません。依頼者が次回も安心して任せられる状態を整えます。
- 納期より前に、不明点と進捗を分かりやすく連絡した
- 誤字・音量・書き出し設定を確認してから提出した
- 修正内容を次回の編集ルールへ反映した
- 納品時に次回の公開予定を自然に確認した
- 継続時の料金と作業範囲を文章で残した
- 依頼者ごとの好みを記録した
納品後に添える一文の例
今回の修正内容は、次回以降の編集ルールとして反映いたします。同じシリーズの制作予定がございましたら、あらかじめ公開日を共有いただけましたら、編集日程を確保してご案内いたします。
月5万円を達成した後に確認すること
一度だけ5万円を超えたことと、無理なく毎月続けられることは別です。達成した月の案件を振り返り、同じ条件を翌月も続けられるか確認します。
- 本業や睡眠へ無理が出ていない
- 手数料と経費を差し引いても目標に届いている
- 1件あたりの実質時給が下がっていない
- 修正が重なっても対応できる余白がある
- 継続案件の条件が少しずつ増えていない
- 翌月の受注予定が見えている
月5万円を安定して作れるようになったら、受注数を増やす前に、平均単価と作業時間を見直します。私自身は、動画編集で得た収入を将来の資産形成へ回しています。副業収入の使い道を決めておくと、無理に売上だけを追わず、継続する目的を持ちやすくなります。
税金と記録について最低限知っておく
副業では、売上がそのまま所得になるわけではありません。国税庁は、業務に係る雑所得について「総収入金額-必要経費」で計算すると案内しています。所得区分は活動の実態によって異なるため、自分の状況に合わせて確認が必要です。
また、年末調整済みの給与所得者でも、給与以外の所得が20万円を超える場合は、原則として確定申告が必要と案内されています。20万円は売上ではなく、必要経費を差し引いた所得を基準にする点に注意してください。住民税の申告など、所得税とは別の手続きが必要になる場合もあるため、税務署や自治体の最新案内を確認します。
- 依頼日、販売額、受取額、入金日
- プラットフォーム手数料
- ソフト、素材、機材などの支出
- 領収書・請求書・利用明細
- 案件ごとの作業時間
税務上の扱いは個々の状況で異なります。判断に迷う場合は、税務署や税理士へ相談してください。
月5万円までの実践チェックリスト
- 目標が売上・受取額・利益のどれか決めた
- 手数料と必要経費を確認した
- 1か月に使える時間の上限を決めた
- 1本の全作業時間を記録した
- 単価別に必要本数を計算した
- 低単価案件へ本数と期間の上限を作った
- 得意分野が伝わるポートフォリオを用意した
- 基本料金と追加作業の境界を明記した
- 納品後に次回予定を確認した
- 収入・経費・作業時間を毎月記録した
まとめ|月5万円は少ない本数でも目指せる
副業動画編集で月5万円を目指すときは、最初に売上、受取額、利益のどれを目標にするか決めます。ココナラでは販売手数料があるため、受取額5万円を作るには、販売額5万円より高い売上が必要です。
次に、1か月へ使える時間と1本の全作業時間を確認し、無理なく扱える本数を出します。月48時間を確保できても、連絡、修正、予備時間を残せば、実際に編集へ使える時間は少なくなります。
大切なのは、5,000円の案件を10本受けて疲弊することではありません。得意分野、基本料金、追加作業、納期を整え、少ない本数でも丁寧に対応できる単価へ段階的に近づけることです。月5万円を一度だけ達成するのではなく、本業と生活を守りながら続けられる形を目指しましょう。

まずは今月使える時間と、1本にかかった全時間を書き出してみてください。月5万円までの現実的な道筋が見えやすくなります。

