動画編集の基本操作を覚え、案件も受注できるようになったのに、単価だけがなかなか上がらないことがあります。

実績を増やせば、いつか自然に高い案件を依頼されると思っていました。価格を上げたいのですが、依頼が来なくなるのが不安です
動画編集の相談では、このような悩みもよく聞きます。
実績を積むことは大切です。しかし、同じ条件と同じ見せ方のまま案件数だけを増やしても、単価が自然に上がるとは限りません。
私が目指しているのは、低単価の案件を大量に受け、作業時間を増やし続ける働き方ではありません。副業として対応できる件数を守り、一件ずつ品質を高めながら、安い案件を含めた平均受注額3万円ほどを目指す働き方です。
単価が上がらないときは、編集技術が足りないと決めつける前に、価格の決め方、作業範囲、実績の見せ方、提案、受ける案件を見直す必要があります。
この記事では、動画編集の単価が上がらない7つの原因と、低単価案件から抜け出すために見直す順番を説明します。

単価が上がらない原因は、編集技術だけとは限りません。まずは、今の仕事がどのような条件で成り立っているか整理してみましょう。
先に結論:単価が上がらない7つの原因
確認したい原因は、次の7つです。
- 表示価格だけで安さを判断している
- 基本料金に含む作業が多すぎる
- 得意分野と選ばれる理由が伝わらない
- 実績の数だけを見せている
- 見積もりが金額だけになっている
- 低価格を求める案件へ応募し続けている
- 値上げの基準と時期を決めていない
当てはまる項目が多くても、すべてを同時に直す必要はありません。
最初に実質時給と作業範囲を確認し、次にサービスの見せ方、最後に価格と顧客の選び方を見直します。

原因1.表示価格だけで「安い・高い」を判断している
一件5,000円なら低単価、一件30,000円なら高単価と、金額だけで判断することがあります。
しかし、完成動画の長さが同じでも、元動画尺、テロップ量、素材探し、修正、納期によって作業時間は変わります。
一見高く見える案件でも、長時間素材から構成を考え、画像を多数探し、何度も修正すれば、時間に対する報酬は低くなります。
反対に、価格が比較的低くても、ルールが整った継続案件を短時間で安定して制作できるなら、時間に対する報酬は高くなります。
確認する数字は、次の二つです。
実質時給 = 手元に残る報酬 ÷ 相談から納品までの総作業時間
平均受注額 = 一定期間の受注総額 ÷ 受注件数
単価と実質時給を分けて確認してください。

金額だけを見ると、本当に条件がよい案件か判断できません。連絡や修正も含め、何時間使ったか確認してください。
原因2.基本料金に含む作業が多すぎる
低い基本料金のまま、依頼者の要望へ一つずつ無料で対応していると、作業量だけが増えていきます。
例えば、次の内容をすべて「動画編集一式」に含めていないでしょうか。
- 長時間素材から使用箇所を選ぶ
- フルテロップを入れる
- 画像や資料を探す
- 複数カメラと音声を同期する
- サムネイルを制作する
- 横動画からShortsも制作する
- 大幅な構成変更へ対応する
- プロジェクトファイルを整理して納品する
依頼者のために対応することと、作業範囲を決めないことは別です。
基本料金に含む作業、追加料金になる作業、対応できない作業を分けます。
見直し例
- 基本料金:規定尺までのカット、要点テロップ、支給素材の挿入、規定回数の修正
- 追加料金:規定を超える尺、フルテロップ、素材探し、特急対応、別動画への再編集
- 要相談:構成作成、特殊なアニメーション、状態の悪い音声修復、プロジェクトファイル納品
実際の出品ページへ記載するときは、自分のサービス内容に合わせて具体的な条件を設定してください。
原因3.得意分野と選ばれる理由が伝わらない
プロフィールに「丁寧に編集します」「迅速に対応します」とだけ書いても、ほかの編集者との違いは伝わりにくいものです。
丁寧な対応や納期を守ることは大切ですが、それだけでは価格を比較する材料になりません。
次の内容を具体的にします。
- 得意な動画の種類
- 得意分野で提供できる品質
- 自分に任せてもらう独自性
- おおよその制作期間
- 基本料金に含む作業
- 依頼者が用意するもの
- 相談から納品までの流れ
例えば「ビジネス系YouTubeが得意」と伝えるなら、専門用語の確認、要点テロップ、図解、落ち着いたテンポなど、何を提供できるかまで説明します。
すべての動画を受けられるように見せるより、受けたい案件に対して「この編集者なら相談しやすい」と分かる方が、価格以外で選ばれやすくなります。
原因4.実績の数だけを見せている
受注件数が多いことは信頼材料の一つです。しかし、件数だけでは、どのような編集ができるか分かりません。
実績を見せるときは、次の情報を組み合わせます。
- どのような動画を制作したか
- どの部分を担当したか
- 依頼者が求めていたこと
- どのような工夫を行ったか
- 制作期間の目安
- 対応した作業範囲
- 依頼者からの評価
自分が今後受けたい案件に近い実績から見せてください。
過去の低価格案件をすべて並べる必要はありません。得意分野と現在の品質が分かる実績を選びます。
なお、実案件をポートフォリオへ掲載できるのは、依頼者の許可と契約条件を確認できた場合だけです。公開できない案件の素材を、名前や一部を隠しただけで安易に掲載してはいけません。
公開できる実績がなければ、受けたい案件を想定した自主制作で編集内容を示します。

受注した動画だからといって、自由に実績公開できるわけではありません。公開許可と契約条件は必ず確認しましょう
原因5.見積もりが金額だけになっている
「15,000円で対応します」と金額だけを送ると、依頼者はほかの編集者との価格差を判断できません。
見積もりでは、次の内容をセットで伝えます。
- 理解している依頼内容
- 料金に含まれる作業
- 追加料金になる条件
- 初稿日と完成予定日
- 修正回数と修正範囲
- 納品形式
- 制作前に必要な素材
見積もり例
ご相談いただきありがとうございます。今回の内容は、元動画約○分から完成動画約○分への編集と理解しております。
お見積もり金額は○円です。カット、要点テロップ、支給素材の挿入、BGM・効果音、初稿後○回までの修正を含みます。初稿は○月○日、完成動画は○月○日の納品予定です。
構成の大幅な変更、追加素材の探索、規定を超える修正が必要な場合は、作業前に内容と追加料金をご相談します。
価格の理由が分かれば、依頼者は自分に必要なサービスか判断できます。
原因6.低価格を求める案件へ応募し続けている
どれだけ品質を上げても、最安値を最優先する依頼者へ同じ提案を続ければ、単価は上がりにくくなります。
応募前に、次の条件を確認します。
- 予算と作業範囲が合っているか
- 参考動画の品質を予算内で実現できるか
- 修正条件が明確か
- 納期が副業時間で守れるか
- 自分の得意分野を活かせるか
- 継続時の条件が一方的に不利ではないか
「実績になるから」という理由だけで、条件の合わない案件を受け続けないようにします。
初期には実績作りを優先する時期もあります。ただし、「同じ分野の実績を○件作るまで」など、低い条件を続ける終了基準を決めておくことが大切です。
原因7.値上げの基準と時期を決めていない
依頼が来なくなる不安から、価格を見直す時期を先延ばしにしてしまうことがあります。
値上げを検討する基準を先に決めます。
- 同じ分野の実績が増えた
- 継続依頼と評価が積み上がった
- 品質と納期を安定して再現できる
- 基本料金を超える作業が常態化した
- 現在の価格では確認時間を確保しにくい
- 新規相談をすべて受けられない状態になった
条件が一つそろっただけで、必ず値上げする必要はありません。
複数の材料がそろった段階で、新規案件から変更し、相談数、受注率、作業時間を確認します。
既存顧客の価格を変更する場合は、適用日、変更する作業、料金に含まれる内容を事前に説明します。
低単価案件から抜け出すために見直す順番
原因が複数ある場合は、次の順番で進めます。
1.直近3〜5件の作業時間を記録する
相談、素材確認、編集、書き出し、修正、納品まで含めて記録します。
同じ金額でも時間がかかる作業を見つけます。
2.無料で含めている作業を書き出す
当初の見積もりにない作業や、依頼ごとに増えている作業を確認します。
3.基本料金と追加料金を分ける
価格を変える前に、何を提供するサービスなのかを明確にします。
4.ポートフォリオと出品ページを整える
得意分野、独自性、制作期間、料金感、依頼先、人となりが伝わる状態にします。
5.見積もり文を変更する
金額だけでなく、含まれる作業と納期を伝えます。
6.応募する案件を選ぶ
予算、作業範囲、納期、得意分野が合う案件を優先します。
7.新規案件の価格を段階的に変更する
反応を記録し、価格だけでなく説明やサービス内容も調整します。


最初に価格だけを変えると、依頼者へ理由が伝わりません。作業範囲と見せ方を整えてから、新規案件で試してみましょう
値下げしてもよい場合と、断った方がよい場合
値下げをすべて禁止する必要はありません。
作業量も一緒に減るなら、予算に合わせた提案ができます。
条件を調整できる例
- フルテロップを要点テロップへ変更する
- 編集者が探す画像数を減らす
- 特殊な演出を基本的な表示へ変更する
- 完成尺を短くする
- 支給素材だけで制作する
- 納期に余裕を持たせる
一方、作業範囲と納期を変えず、価格だけを下げる依頼は慎重に判断します。
特に、低価格を理由に品質確認を省かなければならない案件や、本業・休息へ影響する納期の案件は、長く続けにくい条件です。
値下げするときは、「通常○円ですが今回だけ○円」ではなく、何を減らしてその金額になるのか説明してください。
単価を上げても選ばれるために残すもの
単価を上げた後は、依頼者が価格に見合うと判断できる状態を保ちます。
- 相談への分かりやすい回答
- 条件を整理した見積もり
- 制作前のヒアリング記録
- 安定した編集ルール
- 納品前チェック
- 修正内容の反映記録
- 継続時に再利用できる設定
私の現在の継続顧客は3企業と1個人です。継続していただくために重要なのは、毎回安くすることではなく、次も同じ品質で安心して任せられる状態を作ることだと考えています。
単価を上げることと、依頼者への対応を減らすことは同じではありません。不要な作業を減らし、必要な確認と品質に時間を使います。
低単価案件の診断チェックリスト
- 手数料を差し引いた受取額を把握している
- 相談から納品までの総作業時間を記録している
- 基本料金に含む作業を説明できる
- 追加料金になる条件が決まっている
- 得意な動画の種類が伝わる
- 自分へ任せる独自性を説明できる
- 受けたい案件に近い実績を見せている
- 実績の公開許可を確認している
- 見積もりで作業範囲と納期を伝えている
- 応募前に予算と作業量を比較している
- 低い条件を続ける終了基準がある
- 値上げを検討する基準がある
- 新規価格の反応を記録している
- 作業量を変えずに安易な値下げをしていない
チェックが付かない項目が、最初に見直す候補です。
まとめ
動画編集の単価が上がらないときは、編集技術だけを原因にせず、次の7点を確認します。
- 表示価格だけで判断していないか
- 基本料金に含む作業が多すぎないか
- 得意分野と選ばれる理由が伝わっているか
- 実績の数だけを見せていないか
- 見積もりが金額だけになっていないか
- 低価格を求める案件へ応募し続けていないか
- 値上げの基準と時期を決めているか
低単価案件から抜け出すために、価格だけを変える必要はありません。
まず、直近の案件に使った時間と、基本料金へ含めている作業を書き出します。その後、得意分野、実績、見積もり、応募先を整え、新規案件から価格を試します。
副業で使える時間には限りがあります。案件数を増やして疲弊するのではなく、一件に必要な時間を確保し、高品質な動画を納品できる条件を作ることが大切です。

すべてを一度に変えなくても大丈夫です。まず一件だけ作業時間を記録し、料金に含めている作業を確認するところから始めましょう。


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