動画編集の案件を受け始めると、最初に決めた基本料金だけでは対応しきれない相談が出てきます。
元動画が想定より長い、フルテロップが必要、画像を多数探してほしい、急ぎで納品してほしい。このような依頼へ毎回同じ金額で対応すると、受注額は変わらないまま作業時間だけが増えてしまいます。
一方で、相談が届いてから追加料金を伝えると、依頼者は後から料金を増やされたように感じることがあります。
大切なのは、できるだけ多く追加料金を取ることではありません。基本料金で対応する範囲と、条件によって料金が変わる作業を、依頼前に分かる形へ整理することです。
私が目指しているのは、低単価の案件を大量に受ける働き方ではありません。副業として使える時間を守り、一件ずつ必要な確認と品質を確保できる価格を考えています。
この記事では、基本料金と追加料金の分け方、追加料金表を作る5つの手順、見積もりでの伝え方を説明します。具体的な金額は作業時間や得意分野によって異なるため、自分の数字を入れられるテンプレートも用意しました。

追加料金は、依頼者を困らせるためのものではありません。依頼前に作業範囲と総額を分かりやすくするために整理しましょう。
先に結論:追加料金表は3つの区分で作る
- 基本料金に含む作業
- 条件によって追加料金になる作業
- 内容を確認して個別見積もりする作業
素材の状態や求められる演出によって作業時間が大きく変わるものは、無理に固定料金へせず個別見積もりにします。

基本料金・追加料金・個別見積もりの違い
基本料金に含める作業
基本料金には、そのサービスで一般的に毎回行う作業を含めます。依頼者が表示価格を見たときに、最低限どこまで完成するか分かる状態にします。
- 規定尺までのカット
- 要点テロップ
- 支給素材の挿入
- 規定数までのBGM・効果音
- 書き出しと納品前確認
- 規定回数・範囲の修正
- 指定形式での完成動画納品
追加料金にする作業
標準的な案件では発生しない作業や、量によって負担が増える作業を追加料金として分けます。
- 元動画または完成動画の規定尺超過
- フルテロップ
- 画像・動画素材の探索
- 複数カメラと別録り音声の同期
- Shortsなど別動画への再編集
- サムネイル制作
- 通常より短い納期での特急対応
- 規定範囲を超える修正
- プロジェクトファイルの整理・納品
個別見積もりにする作業
作業量を事前に固定しにくい内容は、素材と参考動画を確認してから見積もります。
- 台本や構成からの作成
- 長時間素材から使用場面を選ぶ編集
- 大幅な音声修復
- 複雑なアニメーションや合成
- 多数の資料・図解制作
- 複数用途・画面比率への展開
- 制作途中からの大幅な方向変更

固定料金にしにくい作業まで無理に料金表へ入れなくても大丈夫です。素材を確認してから見積もる項目として分けましょう
追加料金表を作る5つのステップ

1.相談から納品までの作業を洗い出す
編集ソフトを操作する時間だけでなく、相談、素材確認、連絡、書き出し、修正、納品も書き出します。直近の案件を確認すると、料金へ反映できていない作業を見つけやすくなります。
2.基本料金で対応する範囲を決める
元動画尺、完成尺、テロップ量、素材、修正、納品形式について、表示価格に含む上限を決めます。上限がなければ、同じ価格のまま作業量が増える可能性があります。
3.追加料金が発生する条件を決める
どの状態から追加になるかを明記します。尺超過なら元動画と完成動画のどちらを基準にするか、修正なら回数だけでなく対応範囲も決めます。
4.料金の根拠を計算する
追加料金は競合の表示だけで決めず、その作業へ必要な時間と負担を確認します。
計算の基本
追加作業の料金 = 追加で必要な作業時間 × 自分が確保したい時間単価 + 必要経費
素材サービスの購入費や外注費が発生する場合は必要経費へ含めます。仲介サービスを利用する場合は、手数料を差し引いた後に残る金額も確認してください。
5.実際の見積もり例で確認する
作った料金表を過去の案件へ当てはめ、総額、作業時間、依頼前の分かりやすさを確認します。
追加料金表テンプレート
金額と上限は、自分のサービスに合わせて入力してください。
| 項目 | 基本料金に含む範囲 | 追加になる条件 | 追加料金 |
|---|---|---|---|
| 元動画尺 | ○分まで | ○分を超える場合 | ○分ごとに○円 |
| 完成動画尺 | ○分まで | ○分を超える場合 | ○分ごとに○円 |
| テロップ | 要点テロップ | フルテロップ | ○円~ |
| 画像・素材 | 支給素材を使用 | 編集者が素材を探す | ○点ごとに○円 |
| 修正 | 初稿後○回・当初範囲内 | 回数超過または構成変更 | 個別見積もり |
| 納期 | 通常○日 | 通常より短い納期 | ○円~/要相談 |
| 別動画 | 含まない | Shortsなどへ再編集 | 1本○円~ |
| データ納品 | 完成動画のみ | プロジェクトファイル | 個別見積もり |
「○円~」と書く場合も、料金が変わる条件を添えます。依頼者が必要な総額を想像できない料金表では、相談時の確認が増えてしまいます。
特に決めておきたい追加料金の項目
尺の超過
元動画と完成動画の両方を確認します。完成10分でも、元動画が20分の場合と2時間の場合では、カット時間が異なります。
テロップの量
要点テロップとフルテロップでは作業量が変わります。文字起こしデータの支給、話者数、専門用語の確認によっても負担は異なります。
素材探し
画像の本数だけでなく、素材を誰が用意するかを確認します。商用利用条件の確認や、内容に合う素材を探す時間も作業です。
特急対応
特急料金を設定しても、副業時間で守れない納期を受ける必要はありません。対応できる場合だけ提示します。
修正と追加変更
編集者の誤字や指示の見落としを追加料金の対象にしてはいけません。一方、確定後の台本変更、素材の大幅な差し替え、当初と異なるデザインへの変更は追加作業になる場合があります。

修正回数だけでは不十分です。編集者側のミス、当初範囲の修正、制作開始後の追加変更を分けて記載してくださいね
プロジェクトファイル
完成動画と編集データ一式の納品は同じではありません。使用素材、フォント、プラグイン、データ整理、二次利用の条件を確認します。
依頼者へ分かりやすく伝える書き方
追加料金表を禁止事項の一覧にせず、依頼内容に応じて総額を計算するための案内として書きます。
出品ページへの記載例
基本料金には、元動画○分・完成動画○分までのカット、要点テロップ、支給素材の挿入、初稿後○回までの修正が含まれます。規定尺を超える動画、フルテロップ、素材探し、特急対応をご希望の場合は、購入前に素材と参考動画を確認して総額をご案内します。
見積もり時の記載例
今回のご依頼は、基本編集○円に加え、元動画の尺超過○円、フルテロップ○円を含むため、合計○円でご案内します。初稿日は○月○日、完成予定日は○月○日です。料金に含まれる修正範囲は○○です。
値下げを相談されたときは作業範囲も調整する
予算が合わない場合、価格だけを下げず、作業範囲を一緒に調整できます。
- フルテロップを要点テロップへ変更する
- 編集者が探す素材数を減らす
- 支給素材だけで制作する
- 特殊な演出を基本表示へ変更する
- 完成尺を短くする
- 納期に余裕を持たせる
追加料金表で避けたい5つの失敗
- 基本料金の範囲を書かず追加料金だけ並べる
- 追加になる条件を曖昧にする
- 相談後に初めて追加料金を伝える
- 編集者側のミスまで修正料金へ含める
- 競合の金額だけをコピーして作業時間を計算しない
公開後も、説明しにくかった項目や想定より時間がかかった作業を記録し、定期的に見直します。

料金表は一度作って終わりではありません。見積もりと実際の作業時間を比べ、条件を少しずつ整えていきましょう
公開前チェックリスト
- 基本料金だけで完成する範囲が分かる
- 元動画尺と完成動画尺の上限が分かる
- テロップ量が分かる
- 素材を用意する担当が分かる
- 修正回数と修正範囲が分かる
- 追加料金が始まる条件が分かる
- 固定しにくい作業を個別見積もりにしている
- 特急対応を無理に約束していない
- プロジェクトファイルの扱いが分かる
- 見積もりで総額と内訳を伝えられる
まとめ
動画編集の追加料金表は、基本料金、追加料金、個別見積もりの3つに分けると整理しやすくなります。
追加料金を設定する目的は、依頼後に料金を増やすことではありません。依頼者が購入前に必要な作業と総額を判断でき、編集者も品質を守る時間を確保できる状態を作ることです。
まずは直近の案件を一件だけ振り返り、基本料金に含めていた作業と、想定外に増えた作業を書き出してみてください。

依頼者と編集者の双方が、作業範囲と総額に納得してから始められる料金表を目指しましょう。


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