動画編集の相談を受けたものの、「いくらで見積もればよいのか分からない」と悩む方は少なくありません。相場だけを見て金額を決めると、想定より作業が増え、受注できても利益がほとんど残らないことがあります。
見積もりは、単に金額を伝えるものではありません。どこまで対応するのか、何が追加料金になるのかを依頼者と共有するための設計図です。

依頼者にとっても、料金の理由が分かる方が安心して相談できます
この記事では、副業で動画編集を始めた方に向けて、赤字になりにくい見積もりの考え方と、そのまま使える提示例を紹介します。
動画編集の見積もりに必要な5つの要素

見積もりでは、最低限次の5つを分けて考えます。
- 基本料金
- 追加作業
- 修正条件
- 納期
- 納品形式
1.基本料金
基本料金には、標準プランで対応する作業をまとめます。カット、テロップ、BGM、効果音、色調整など、何が含まれるかを明記してください。
2.追加作業
素材尺の超過、フルテロップ、画像選定、サムネイル制作、複雑なアニメーションなど、基本料金に含めない作業を分けます。
3.修正条件
無料修正の回数と範囲を決めます。「修正2回まで」だけではなく、編集者側のミスは回数に含めないことや、構成変更・素材差し替えは別料金になることも記載します。
4.納期
通常納期と特急対応を分けます。初稿提出日と最終納品日を混同しないようにし、依頼者の確認期間も予定に含めます。
5.納品形式
MP4などの完成データだけか、編集プロジェクトファイルも渡すのかを確認します。プロジェクトファイルの譲渡は、素材やフォントの利用条件にも注意が必要です。
「動画編集一式」だけの見積もりが危険な理由

「動画編集一式 30,000円」のような書き方では、依頼者と編集者が想定する内容に差が出やすくなります。フルテロップや画像探しまで含まれると受け取られ、後から断りにくくなることもあります。

金額より先に、含まれる作業を言葉にしてください。曖昧な一式表記は、追加作業を無料で抱える原因になります
見積もりを作る前に確認する10項目
- 動画の用途と公開先
- 完成予定の長さ
- 元動画・素材の長さ
- カットの細かさ
- テロップの量とデザイン
- 画像・BGM・効果音を誰が用意するか
- 演出やアニメーションの量
- 希望納期と初稿確認日
- 修正回数と確認者の人数
- 納品形式とプロジェクトファイルの要否
参考動画を1本共有してもらうと、文章だけでは分かりにくい編集量を確認できます。ただし、「このような雰囲気」という参考なのか、完全に同じ演出が必要なのかまで確認しましょう。
見積もり金額の基本的な計算方法
考え方の基本
見積金額 = 想定作業時間 × 必要な時間単価 + 外注費・素材費 + 予備工数
たとえば、作業に10時間かかり、確保したい時間単価が3,000円なら、作業部分だけで30,000円です。ここに有料素材や外注費、想定外の確認に備える時間を加えます。
初心者のうちは作業時間を短く見積もりがちです。編集時間だけでなく、素材確認、連絡、書き出し、アップロード、修正対応まで含めて計算してください。

動画を触っている時間だけが仕事ではありません。見積もりには、確認と連絡に使う時間も含めます。
見積もり例:YouTube動画1本の場合
| 項目 | 内容 | 料金例 |
| 基本編集 | 完成10分/素材60分まで、カット・要点テロップ・BGM・効果音 | 30,000円 |
| フルテロップ | 全発言へのテロップ挿入 | +8,000円 |
| 画像選定 | 編集者側で画像を選定 | +5,000円 |
| 修正 | 2回まで無料。構成変更・素材差し替えは別途 | 条件内 |
| 納期 | 素材受領から7日 | 条件内 |
上記はあくまで書き方の例です。自分の作業速度や編集内容に合わせて調整してください。料金だけをコピーするのではなく、どの条件なら利益を保てるかを確認します。
依頼者へ提示する見積もり文の例
見積もりメッセージ
ご相談ありがとうございます。共有いただいた内容をもとに、完成尺10分・素材尺60分まで、カット、要点テロップ、BGM・効果音を含めて30,000円でお見積もりいたします。修正は初稿提出後2回まで、納期は素材をすべて受領してから7日です。フルテロップ、素材尺の超過、構成変更を伴う修正は追加料金となります。内容に相違がないか、ご確認をお願いいたします。
見積もりを送るときは、金額だけでなく前提条件も同じメッセージ内に残します。電話やオンライン面談で決めた場合も、作業開始前に文章で確認してください。
追加料金を決めておくべき作業
- 規定を超える素材尺・完成尺
- フルテロップへの変更
- 画像・動画素材の選定
- サムネイル制作
- 複雑なモーションや図解
- 短納期・当日対応
- 無料回数を超える修正
- 初稿提出後の構成変更
- プロジェクトファイルの納品
追加料金の詳しい決め方は、動画編集の追加料金表の作り方で解説しています。
見積もり提出後に条件が変わった場合
素材が増えた、完成尺が長くなった、フルテロップへ変更になったなど、当初の条件が変わった場合は、作業を進める前に再見積もりを出します。
追加見積もりの伝え方
ご共有ありがとうございます。当初のお見積もりは素材尺60分までを前提としておりましたが、今回の素材は90分のため、超過分として○○円の追加となります。追加後の合計は○○円です。ご了承いただいてから作業を進めます。

条件変更があったときは、完成後ではなく作業前に伝えます。合意を待ってから進めることが大切です。
見積もりで避けたい7つの失敗
- 相場だけで金額を決める
- 素材尺を確認せず完成尺だけで決める
- 一式表記で作業範囲を曖昧にする
- 無料修正の範囲を決めない
- 依頼者の確認期間を納期に入れない
- 口頭の合意だけで作業を始める
- 追加条件が出ても同じ料金で続ける
受注前の最終チェックリスト
- 基本料金に含む作業を書いた
- 追加料金になる条件を書いた
- 素材尺と完成尺を確認した
- 初稿日と納品日を分けた
- 修正回数と対象範囲を決めた
- 納品形式を確認した
- 依頼者から文章で了承を得た
まとめ
動画編集の見積もりでは、金額だけでなく、基本料金・追加作業・修正条件・納期・納品形式を明確にします。作業範囲を細かく分けることで、依頼者との認識違いを減らし、追加作業にも適切な料金を提示できます。
副業では使える時間が限られています。安さだけで受注するのではなく、自分が品質を保てる条件を見積もりに反映し、無理なく続けられる料金設計を整えていきましょう。

見積もりは自分を守るだけでなく、依頼者を安心させるものでもあります。最初から完璧でなくても、案件ごとに記録して改善していけば大丈夫です。
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