ココナラで動画編集を続けていると、個人のYouTuberだけでなく、企業のYouTubeチャンネルや採用動画、サービス紹介動画などを相談されることがあります。
法人案件は、継続依頼や単価アップにつながる可能性がある一方で、個人依頼と同じ感覚で進めると、確認者の増加や社内確認の遅れ、契約書への対応などで戸惑うことがあります。
私は2021年8月にココナラを始め、ココナラで487件、X経由で10件、企業から直接受けた案件が約40件あります。累計約537件はすべて動画編集で、売上金額では企業案件の割合が最も大きくなっています。
この記事では、その経験をもとに、ココナラで法人の動画編集案件を受注するために意識していること、個人依頼との違い、受注前の確認事項を解説します。
個別の秘密保持契約(NDA)を求められ、ココナラ運営へ問い合わせた最近の経験も紹介します。

法人案件だから特別な営業が必要というより、「社内で安心して任せられる状態」を作ることが大切です。
ココナラの法人案件と個人依頼は何が違う?

法人案件と個人依頼では、編集技術そのものよりも、確認する人の数と意思決定の流れに違いが出やすいと感じています。
法人案件は確認者が複数になることがある
個人依頼では、相談者本人が動画の方向性を決め、そのまま修正内容を伝えるケースが多くあります。
一方、法人案件では、担当者のほかに上司、広報担当、出演者、取引先などが確認することがあります。担当者からは問題ないと言われても、社内確認の段階で追加の修正が出ることも珍しくありません。
そのため、見積もり前に次の点を確認しておく必要があります。
- 最終的に動画を確認するのは誰か
- 初稿後の社内確認に何日ほど必要か
- 修正指示は担当者がまとめて送るのか
- 公開日と納品日のどちらを基準に進めるのか
確認者が複数いる場合は、修正指示を一度まとめてもらうだけでも、同じ箇所を何度も直す事態を防ぎやすくなります。
法人案件は意思決定に時間がかかりやすい
法人案件では、返信が遅いからといって、依頼者が案件を放置しているとは限りません。担当者が社内確認を待っている場合や、複数部署で確認している場合があります。
ただし、確認待ちの日数を考慮せずに納期を決めると、編集者だけが短期間で対応しなければならなくなります。
たとえば、公開日まで10日ある場合でも、社内確認に3日、修正確認に2日必要なら、初稿までに使える時間は残り5日です。公開日だけでなく、初稿提出日・確認期間・正式納品日を分けて決めることが重要です。
継続しやすい一方で、最初から継続とは限らない
企業のYouTubeチャンネルや定期的な広告動画は、運用が続く限り編集も必要になります。そのため、一度信頼してもらえると継続依頼につながりやすい傾向があります。
私の場合、現在の売上金額の約80%を継続案件が占め、最も長い依頼者とは約4年取引しています。しかし、法人案件だから必ず継続するわけではありません。
まず1本依頼し、品質、返信、納期、修正時の対応まで確認してから継続を判断する企業もあります。最初から本数を期待しすぎず、1本目で進め方を整えることが大切です。
法人案件を受注しやすくする5つの準備
法人担当者が見ているのは、派手な編集ができるかどうかだけではありません。社内で説明しやすく、安心して任せられる編集者かどうかも確認されています。
1.プロフィールに対応分野を具体的に書く
「動画編集ができます」だけでは、どのような依頼に対応できるのか判断できません。
私が多く受けているのは、ビジネス系、特に演者が画面に出ない非属人動画です。プロフィールやサービスページには、対応できる動画を具体的に書いたほうが依頼者は判断しやすくなります。
- ビジネス系YouTube動画
- 非属人チャンネルの動画
- サービス・商品紹介動画
- セミナーや対談動画
- 横動画から作るショート動画
すべてのジャンルに対応できるように見せるより、得意分野を明確にしたほうが、依頼内容とのミスマッチを減らせます。
2.ポートフォリオで業務動画の見やすさを伝える
法人案件では、演出の派手さよりも、情報が正しく伝わることを重視されるケースがあります。
ポートフォリオには、テロップ、図解、不要部分のカット、音量調整など、業務動画で求められやすい要素を確認できる作品を入れます。
実績公開ができない案件が多い場合は、公開可能な素材で模擬作品を作り、対応できる編集を示す方法もあります。許可のない実案件を勝手に掲載してはいけません。
3.見積もりの範囲を言葉にする
法人担当者は、提示された金額だけでなく、社内でその金額を説明できるかも考えています。
見積もりでは、少なくとも次の内容を分けて伝えます。
- 元素材と完成動画の想定時間
- カット・テロップ・画像挿入などの編集範囲
- 初稿の提出日
- 無料修正の範囲
- 追加料金が発生する作業
- 納品形式とデータ保管期間
基本料金が7,000円でも、素材の長さや編集量によって実際の受注価格は2万〜3万円になることがあります。基本料金だけを強調せず、どの条件で金額が変わるのかを明確にすることが重要です。
4.返信の速さより、確認漏れのない返信を意識する
返信は早いほうが安心感につながります。しかし、急いで「対応できます」と答えたあとに、納期や仕様を確認し直すと、かえって不安を与えます。
すぐに判断できないときは、まず相談内容を確認したことを伝え、回答できる時間を案内します。質問への回答は番号を付け、相手の質問と対応させると確認しやすくなります。
5.初稿前にも進捗を共有する
数日間連絡がないと、依頼者は編集が進んでいるのか分かりません。特に初めて取引する企業には、素材確認の完了や初稿予定日を簡潔に伝えます。
毎日報告する必要はありません。案件開始時、中間地点、初稿前など、相手が不安になりやすいタイミングで報告することが大切です。
法人案件の受注前に確認する6項目

法人案件では、作業内容だけでなく、確認や公開までの流れも見積もりへ影響します。
1.担当者と最終確認者
窓口になる担当者と、動画を最終確認する人が同じとは限りません。修正指示を誰がまとめるのかまで確認します。
2.初稿日・正式納品日・公開日
3つの日付を分けて確認します。公開日だけを聞いても、社内確認に必要な時間までは分かりません。
3.修正回数と修正範囲
誤字や軽微な調整と、構成変更や素材差し替えを同じ「修正」にしないことが重要です。構成確定後の作り直しは、追加料金の対象になることを事前に共有します。
4.動画の使用目的と公開先
YouTube、広告、社内研修、展示会など、使用目的によって必要な構成や書き出し設定が変わります。公開先が複数ある場合は、サイズ違いの納品が必要かも確認します。
5.納品形式と元データの扱い
動画ファイルだけを納品するのか、プロジェクトファイルも必要なのかを確認します。編集データの譲渡、素材の保管期間、再編集時の扱いも決めておくと安心です。
6.ココナラ上の支払いと追加作業
ココナラで受けた案件は、見積もり、購入、追加支払い、納品までココナラ上で進めます。追加作業が発生した場合も、作業を始める前に内容と金額を提示し、合意を残します。
個別のNDAを求められたときは自己判断で署名しない

法人案件では、依頼者から会社独自の秘密保持契約書(NDA)への署名を求められることがあります。
ココナラには、出品者がココナラと締結する標準のNDA機能があります。ただし、これは依頼者と出品者が個別に結ぶ契約書とは異なります。
また、ココナラの公式ヘルプでは、ユーザー間の契約は利用規約で定められているため、書面や電子契約サービスを使った直接契約は控え、合意が必要な内容はメッセージやトークルームでやり取りするよう案内されています。
- [機密保持契約(NDA)について|ココナラヘルプ](https://coconala-support.zendesk.com/hc/ja/articles/360020928333)
- [納品物の使用範囲・著作権譲渡について|ココナラヘルプ](https://coconala-support.zendesk.com/hc/ja/articles/218273168)
実際に個別NDAを相談されたときの流れ
法人の依頼者から、ココナラ上の取引とは別に個別のNDAを締結したいと相談されました。
ユーザー同士でそのまま契約を進めてよいのか分からなかったため、すぐに応じず、まずココナラ運営へ問い合わせました。
その際は、依頼者側からも「なぜ個別のNDAが必要なのか」を運営へ問い合わせ、案件ごとに確認してもらう必要がありました。
ここで重要なのは、「問い合わせれば必ず認められる」という意味ではないことです。契約内容や必要な理由によって案内が変わる可能性があります。
個別の契約書を求められたら、次の順番で対応します。
- 契約書へ署名する前に内容と目的を確認する
- 個別契約を求められていることをココナラ運営へ相談する
- 依頼者から締結理由を運営へ伝えてもらう
- 依頼者からの案内を待ち、その内容に従う
- 結果をココナラのメッセージ上に残す

依頼者を疑うワケじゃないですが、締結しても良いとの返事をいただいたと連絡をいただいても念のために運営に確認すると自分を護ることにつながります。
NDAと外部連絡は別の問題
NDAを締結するためという理由でも、無断で外部連絡先へ移動してよいとは限りません。契約書の確認と連絡手段の変更を一緒に考えず、それぞれココナラ運営へ確認します。
継続案件が提示されていても、ルールを自己判断で破ると、トラブルが起きたときに取引記録を確認できなくなる可能性があります。
法人案件の継続につながった対応
私が法人案件を続けるなかで、特に継続につながったと感じるのは、編集技術だけでなく、次のような対応です。
- 返信内容を整理し、質問への回答を漏らさない
- 初稿日と正式納品日を分けて伝える
- 修正指示を一度整理してから作業する
- 依頼者の意図を確認してからクオリティアップを提案する
- 横動画を依頼された相手へショート動画も提案する
初心者の頃は、「こうしたほうが良い」と自分で判断して編集を変更し、結果的に修正を増やしてしまった経験があります。
クオリティアップは、編集者が好きな演出を追加することではありません。依頼者の目的を理解し、必要な改善を確認したうえで提案することです。
現在、平均的な修正回数は1回、初稿納期は3日ほどです。事前確認と途中の共有を整えることで、修正を減らしながら継続しやすい進め方を作れています。
法人案件だから高く受注できるとは限らない
「法人案件なら高単価」と考えて応募すると、作業量に対して料金が合わない場合があります。
確認者が増える、資料を読み込む、修正を取りまとめる、複数サイズを書き出すといった時間も作業の一部です。動画の長さだけで料金を決めず、やり取りや確認に必要な時間まで含めて見積もります。
会社名の大きさよりも、実際の作業範囲と条件で判断することが大切です。
ココナラの法人案件でよくある質問
法人から相談が来たら、個人依頼より安くしたほうがよいですか?
法人だからという理由だけで値下げする必要はありません。素材時間、完成尺、編集内容、確認者数、修正範囲、納期を確認して見積もります。継続予定があっても、確定していない将来の本数を理由に最初の1本を赤字にしないことが重要です。
請求書を直接送ってもよいですか?
依頼者から独自の書類や対応を求められ、判断できない場合は、自己判断で進めず運営へ問い合わせます。
企業名や制作した動画を実績として公開できますか?
許可なく公開してはいけません。企業名、動画、制作画面、数値など、どこまで公開できるかを依頼者へ確認します。公開不可の場合は、業種や担当範囲だけを匿名で紹介できるか相談します。
返信が遅い法人案件は断ったほうがよいですか?
社内確認に時間がかかっている可能性があります。まず確認に必要な日数と、返信が遅れた場合の納期変更を決めます。連絡が取れない状態が続く場合は、ココナラのルールに沿って運営へ相談します。
まとめ|法人案件は受注前の確認で進めやすさが変わる
ココナラの法人案件では、編集技術に加えて、社内確認を想定した進行管理が必要です。
- 担当者と最終確認者を確認する
- 初稿日・正式納品日・公開日を分ける
- 修正範囲と追加料金を見積もりに残す
- 使用目的と納品形式を確認する
- 個別NDAは署名前に運営へ相談する
- 法人という名前ではなく、実際の作業条件で料金を決める
企業案件は、一度進め方が整うと継続につながる可能性があります。ただし、相手に合わせて何でも受け入れることが信頼ではありません。
ココナラのルールを守り、確認すべき内容を言葉にして、お互いが安心して進められる状態を作ることが、長く続く法人案件につながります。

法人案件でも基本は同じです。できること、料金、納期、ルールを曖昧にせず、丁寧に積み重ねていきましょう。

