最近、あるお客様からこんな質問をされました。

動画編集ってどれくらい儲かるの…? というか、ぶっちゃけいくらもらってるの?
聞けば、その方の知人の葬儀で流れたメモリアルムービーを制作会社に依頼したところ、10万円ほどかかったと聞いたそうです。
内容としては、7〜8分程度の写真スライドショー。
そのお客様は昔、旅行先で撮った写真をスライドショーにしてお友達に配っていたそうで、「あの程度の動画だったら自分でも作れそうなレベルだったのに」と、目を輝かせて話してくれました。
まぁそんな報酬をもらえるのであれば、本業が動画編集になっているので、ここにはいませんけどね…と笑い話になりました。
そこで今回は、動画編集の単価がなぜこんなにも安くなってしまうのか、そして初心者でも適正単価を得るための方法について解説していきます。
動画編集の単価が安いと言われる理由
SNSやクラウドソーシングでは低単価が目立つ
例えばXでは



- 素材1時間、完成15分で7000円〜
- 素材15分、完成5〜10分で2500円〜要相談
- 完成尺15分〜45分(幅ありすぎじゃない?)で7000円〜
このように、単価が低い案件が今でも出回っています。受けなければいいものの、いいね、リツイートもあるので、応募している人はいるんだろうなぁって思っています。
企業の相場は桁違い
以下は、映像制作会社の一般的な料金相場です。
映像ジャンル | 相場価格 |
---|---|
PR動画(2~3分) | 30万〜80万円 |
採用動画(5分) | 50万〜150万円 |
メモリアル動画 | 8万〜15万円 |
SNS広告動画(短尺) | 20万〜50万円 |
撮影・構成・編集込みの価格ですが、やっている作業内容の本質はフリーランスの私たちと大きく変わりません。
安い単価に甘んじると、自分の首を絞める
私は駆け出しの頃、10分の動画を3000円〜5000円で受けていました。
- 周りもその価格だったから
- 初心者でスキルが未熟だから
- 高いと仕事が取れないと思っていたから
その結果、自分のスキルを安く見積もるクセがつき、価格を上げにくくなってしまいました。
今も、昔からのお付き合いのあるチャンネルは、完成動画10分10000円程度でお引き受けしています。長い方になると、かれこれ3年ほどのお付き合いです。
以下のスクリーンショットは2025年6月現在、進行している案件です。

4万円単価の動画は、ビジネス系で完成18分程度、8万円単価の動画は、エンタメ系で完成10分弱の動画が2本分となります。
カット前の動画の長さと、編集工程が増えるごとに価格が上がる仕組みなので、一概には言えませんが、10分2万円〜3万円程で承ることが多いです。
「無料で実績作り」をオススメしない理由
「初心者は無料で実績作るべき」という意見もありますが、私は反対です。

無料でいいので実績を作らせてください
というDMを何度もいただいたことがありますが、正直、お願いしたくはありません。
その理由は、
- 責任感が薄そうに見える
- クオリティが低くても仕方ないと思ってそう
- 対価を払ってでもしっかりとしたものを納品してほしいから
無料だからOKではなく、有料でも選ばれる編集者になることが大事です。
実績を作るための3つの方法
① 自撮り素材で動画を作る
スマホでVlogやビジネス系の動画を撮影し、自分で編集する方法です。
動画編集スクールでもよく取り入れられており、「自己紹介系ポートフォリオ」として定番です。
ただし、このやり方は非常に多くの人が採用しているため、編集内容が似通ってしまう傾向があります。
実際に募集をした際も、似たような動画が大量に届き、正直なところ最後まで視聴したことがありません。
差別化が難しいため、印象に残りにくいというデメリットがあります
おすすめ度 :
② 「非属人系」動画を作る
キャラクターやイラストを用い、ナレーションやテロップで構成する「非属人系」の動画を作成する方法です。
顔出し不要で、プライバシーの心配もなく、解説系・エンタメ系など幅広く展開できるのが特長。
特にビジネス系の情報発信に強く、需要も非常に高いためポートフォリオとして強い印象を与えることができます。
実績として見せたときに「この人に頼んでみたい」と思われやすくなります。
おすすめ度:
③ 数分のテスト編集を提案する
新規で見積もりをいただいた際、「この案件は絶対に受けたい」と思ったら、私は今でも必ず“テスト編集”を提案しています。
依頼主に「編集依頼予定の動画を2分テスト編集させてください」と提案し、実際にそのチャンネルの雰囲気に合わせた編集を全力で仕上げる方法です。
OKが出れば、最速最短で届けます。
もちろん過去4年間に培った「受けるための伝えかた」はあるのですが、8割はテスト編集をご了承していただけます。そして、テスト編集後にほとんどが受注となっています。
しかも、テスト編集後に受注できれば、その続きから編集できるため、編集した数分間も無料ではなく受注の一部となります
自分の実力をしっかり伝えられる上に、無駄がありません
おすすめ度:
最終的には“人”で選ばれる
単価が上がらず、時給換算すると100円以下。
それでも毎日、寝る間を惜しんで動画編集に取り組む──。
そんな「編集が好き」で頑張っていた人たちが、疲弊して辞めてしまう姿を、私は何度も見てきました。
だからこそ、価格だけで勝負する時代は終わらせなければいけないと思っています。
確かに動画編集は、「誰でも簡単にできる仕事」と言われがちです。
カットやテロップの挿入であれば、数日間編集ソフトに触れればある程度のものは作れるようになるでしょう。
エフェクトの付け方やテンプレ的な編集も、YouTubeで調べればすぐに再現できますし、経験を積めば、素材を見ただけで編集の雰囲気までイメージできるようにもなります。
つまり、編集スキルだけでは差がつきにくい時代になっているのです。
実際、低単価で仕事を受けている中にも、編集の技術が高い方はたくさんいます。
では、何が違いを生むのか?
最終的には「人」としての信頼感だと私は思っています。
社会人として当たり前のことを、当たり前にできるかどうか
顔を合わせないやりとりが多い動画編集の現場では、
意外とこの「当たり前」ができていない方も少なくありません。
- メッセージの返信が早い
- 丁寧な対応を心がける
- 相手の意図を汲み取った提案ができる
こういった姿勢こそが、編集スキルに「+α」の価値を加えてくれる要素になります。
技術だけではなく、「この人に任せてよかった」と思ってもらえる誠実さや対応力。
それこそが、価格以上の価値を提供できる編集者になるために欠かせない要素だと、私は強く感じています。
自分のスキルに自信を持つ
もし今、低単価で悩んでいるなら、自分の編集に自信と責任を持ちましょう。
- 単価が安いのは、業界の構造上の問題なので、あなたが単価を下げることはない
- 自分の価値を下げるのではなく上げる
- 無料でやらなくても実績の作り方はたくさんある
- 大切なのは「この人なら安心だな」と思ってもらえる信頼感
ここを突き詰めれば、価格ではなく「信頼」で選ばれる編集者になることができます。
私も動画編集大好きだから、低単価で疲弊しないように日々改善しています!